「海!青空!これぞ『夏』な映画」5選!
映画日和 ~7月号~

  • posted.2017/07/31
  • 山口拓巳
  • Hatena 0
「海!青空!これぞ『夏』な映画」5選! 映画日和 ~7月号~

静岡の「映画が好きだ!」というみなさん。

お待たせしました。

ギリギリ間に合いました。映画日和7月号です。

映画が好きだけど、年間日本国内で上映される作品は1,000本以上、ましてやDVDレンタルやストリーミング配信なんかも考えるととんでもない本数に! そんな数ある映画から、今日観る1本を選べないあなたにお届けする「映画日和」。

友達がいないから休日はもちろん、仕事が早く終わった夜にはひとりでレンタルDVD(たまにAmazonビデオ)を借りて、家で映画を観るのが日課のmiteco編集部・山口と、静岡市唯一のミニシアター「静岡シネ・ギャラリー」の副支配人おふたりがプレゼンテイターです。

これを読んで「映画が観たい!」と思ったらその日が映画日和です。

7月号のテーマ「海!青空!これぞ『夏』な映画」

7月に入り梅雨も明け、いよいよ夏モード。でも、夏って「青春!」な感じがするものの「いや、暑いし、外出たくないし、涼しいとこ行きたいし・・・」ってなりますよね。

アイス食べながらクーラー効いた部屋で映画とか、キンキンに冷えたコーラ片手に映画館とか最高です。

minamiizupr_23知ってる?南伊豆がとにかく最高だってこと まるで夢のような南伊豆1泊2日の旅」より。

こういうのも、とってもいいんですけど・・・。「正直言って毎日これはしんどいし、そもそも映像とか画像だけでよくない?」って思ってる方もいるかも。

というわけで今回のテーマは、家にいながらにして夏気分を満喫できる映画をご紹介。また裏テーマとして、「せっかくだから、ちょっと趣向を変えてメジャー作品を入れること」を設定。

いままで「いわゆるミニシアター系の作品」が多かっただけに、個人的にわくわくドキドキ。いったいどんな映画を選定してくれたのでしょうか?

絵日記と“お父”が描かれる|『菊次郎の夏』

 

eiga_biyori_7_f1山口 では、今回は川口さんからですね。
eiga_biyori_5_f2川口 はい。メジャーもというのはあるんですけど、単純に好きな映画『菊次郎の夏』ですね。

『菊次郎の夏』
1999年(日本) 監督:北野武
 
おばあちゃんとふたり暮らしの小学生・正男は、ひょんなことからチンピラでどうしようもない中年男・菊次郎と母親探しの旅に出かける。
 
道中でもひとくせもふたくせもある人物たちに出くわしたり、奇想天外な行動をとる菊次郎に振り回されたり・・・。夏休みのひと夏の思い出を小学生の目線から「冒険」として描くロードムービー。
 
久石譲作曲のメインテーマ「Summer」が彼の代表曲となったほか、カンヌ映画祭のコンペティション部門にも参加するなどして評価を集めた。ちなみにビートたけしが演じる菊次郎のモデルは同氏の実父。

eiga_biyori_7_f1山口 『菊次郎の夏』! のっけから面白い。まさか「その映画が出てくるとは!」って感じですね。
eiga_biyori_5_f2川口 え? 変だった?
eiga_biyori_7_f1山口 いままで、ダウナー系とかアングラな印象の映画が多かったので・・・。先月に至っては、もう・・・。

川口さんのダウナーっぷりが発揮された6月号。/span>

eiga_biyori_5_f2川口 あれは、そういうテーマでしたし、6月はもうダウナーなので(笑)北野映画はけっこう好きで、だいたい全部は観てるんじゃないかな?
eiga_biyori_7_f1山口 北野映画が好き、というのはなんとなく(ダウナーやバイオレンスが多いから)わかるんですが、この映画が好きなのは・・・?
eiga_biyori_5_f2川口 内容で言うとまずは絵日記! みんな子どものころって夏休みに絵日記書くでしょ?
eiga_biyori_7_f1山口 まあ、書いたような・・・。
eiga_biyori_5_f3海野 書いてた・・・気がする・・・。
eiga_biyori_5_f2川口 もうね。絵日記が、僕にとってはすごくいいんですよ。この映画って「〇月〇日」という感じで絵日記が出てきて、ストーリーが進むというのが特徴なんですけど。

 

絵日記を書く前に正男くんの妄想が広がって、実際には起こっていないことを「ちょっと盛るような感じで絵日記にしていく」という。これがすごく夏っぽいし、純な感じがするんですよね。

eiga_biyori_7_f1山口 子どもの目線、「夏休み」というのを忠実にほのぼのと描いたいい映画ですよね。ノスタルジーがすごい。
eiga_biyori_5_f2川口 でも『菊次郎の夏』というくらいで、「正男君の夏休み」ではないんですよね。だから、そういう目線で大人になってから観てみると、そっちもすごくいい。どうしようもないチンピラオヤジの菊次郎が正男くんとの道中によって自分自身も――。
 
大人のオヤジですけど成長というか感動しますよね。北野映画のなかでも「あれはいい」って誰にでも薦められるなあって思います。

こんなんアリ!? 中世ヨーロッパの大人気スポーツを現代的に演出|『ロック・ユー』

 

eiga_biyori_5_f3海野 僕の選んだ作品のひとつ目は『ロック・ユー』ですね。
eiga_biyori_7_f1山口 これは、もうめちゃめちゃ笑えるやつ。

『ROCK YOU!(邦題:ロック・ユー!)』
2001年(アメリカ) 監督:ブライアン・ヘルゲランド
 
14世紀の中世ヨーロッパ、貴族も平民も熱狂する「馬上槍試合」があった。誰でも観戦できるが、出場は貴族でなければならない高貴なスポーツである。騎士に憧れる平民出身のウィリアムが身分を偽り、騎士として立身出世を目指す熱血スポ根映画。
 
2008年に急逝したヒース・レジャーをスターに押し上げた作品であり、舞台の時代とかけ離れた現代的な演出方法で話題を集めた。

eiga_biyori_7_f1山口 演出はなんかもう『ロッキー』みたいですよね。
eiga_biyori_5_f3海野 だって中世の映画なのに入場曲がかかって、それがQUEENの『WE WILL ROCK YOU』ですよ。これがオープニング(笑)極めつけは、貴族も平民もそのリズムに合わせて甲冑叩いたり地面を足踏みしたり・・・。ドンドンチャッって、観てて「ええええ!?」ってなるやつですよね。
eiga_biyori_7_f1山口 あれは、もう意味わからんかったです。だけど、なんか引き込まれちゃう。
eiga_biyori_5_f3海野 あと、意外に・・・意外って、知らないスポーツだからって意味で馬上槍試合が面白くて・・・。
eiga_biyori_7_f1山口 わかります(笑)これ、僕は大学生時代にDVD借りてきて観たんですけど、もうさっきの通りのオープニングで「なんでこれを借りちまったんだ」って思っちゃうんですけど、気づいたら最後まで観ちゃうタイプのやつ。
eiga_biyori_5_f2川口 そうなんだよ。僕も不思議と観たのを覚えてる。これはテレビでやってるのを横目で観ちゃう。
eiga_biyori_5_f3海野 こういう仕事をしていると、この手のジャンルはあまり触らなくなっちゃうんですけど、これはなんか観ちゃったんですよね(笑)

 

深夜1:45とかから流れてきて、「寝ようかな」と思ってテレビ消す前にうっかりチャンネルを変えると映ってて、気づいたら「うわあ、観ちゃった」ってなるやつです。

マジでやっちゃったのがすごすぎる!|『6才のボクが、大人になるまで。』

 

eiga_biyori_7_f1山口 次の川口さんの作品は・・・。
eiga_biyori_5_f2川口 これはね。すごいですよ。めちゃくちゃすごいし、夏っぽい。『6歳のボクが、大人になるまで。』ですね。

『Boyhood(邦題:6才のボクが、大人になるまで)』
2014年(アメリカ) 監督:リチャード・リンクレイター
 
6才のメイソンJr.は両親が離婚したときに、母親のオリヴィアについて彼女の故郷であるヒューストンへと引っ越す。姉と母との生活は、母が再婚することで6人家族になったり、再び3人になったり・・・。さまざまなことを経験しながらメイソンjr.はやがて思春期を迎え、恋愛も失恋も経験し、だんだん大人になっていく様子を描いたヒューマン・ドラマ。
 
本作はなによりもその撮影手法やコンセプトが評価され、作品の出来栄えに対しても批評家、映画ファンから軒並み絶賛された注目作。

eiga_biyori_7_f1山口 あーーー! いま思い出しました。これはすごい話題になりましたね。
eiga_biyori_5_f2川口 すごいよね。なんたって、6才の主人公が、大人になる18才まで本当に12年間撮影して作った作品なんだから。作品を作るのに12年が確定でかかっちゃうし、毎年キャストやクルーを集めなきゃだし、ほんとにいろいろ気になる。契約とかどうなってんでしょうね・・・。
eiga_biyori_7_f1山口 どうなってるんですかね・・・。
eiga_biyori_5_f2川口 この小役に抜擢されたエラー・コルトレーンはほんとに6才だったらしくて・・・。普通、小役で才能があればどんどん有名になって、運が悪いと・・・。
eiga_biyori_7_f1山口 ジャンキーになったり・・・。
eiga_biyori_5_f2川口 そうそう(笑)けど、この子はこの作品が12年後にならないと発表されないという。めちゃくちゃ実験的ですよね。ストーリーは『菊次郎の夏』と近くて、自分の子ども時代を下敷きに作っているんですけど、これも撮影中に役者と相談しながら作ってるんです。

 

編集も「○○歳」とか「○○年」みたいな区切りをつけずにシームレスだから、みんなだんだん老けてくし、エラー・コルトレーンも背が伸びて・・・。気づいたらヒゲ面になってた(笑)

eiga_biyori_5_f3海野 ほんとに、気づいたらヒゲ生えてるんだよね(笑)
eiga_biyori_7_f1山口 めちゃめちゃリアリティがありますね。
eiga_biyori_5_f2川口 ある。というか、これ以上リアリティを出すことって難しい。ストーリー上大事件が起こるようなことはないんだけれど、でも人間の成長や心の動きが面白くて。

 

しかも12年分だから150分を超える作品なんですが、「よくまとめ切った!」って感動しましたね。

「夏の映画」の大定番もちょっと違う視点で観てみると?|『時をかける少女』

 

eiga_biyori_7_f1山口 で、海野さんの2作品目ですね。
eiga_biyori_5_f3海野 「夏」に直球でお答えしようと考えました。『時をかける少女』です。

『時をかける少女』
2006年(日本)監督:細田守
 
主人公、高校2年生の真琴は、医学部を目指す優等生。優しく少し不器用な功佑と、春に転校してきた謎の多い千昭の同級生ふたりと親しく過ごす高校生活を送っていた。ある日、理科準備室でたまたまタイムリープの力を手に入れ、自身の都合のよいように時間を行き来して青春を謳歌するが――。
 
細田監督の出世作にして、小さな上映館から異例のロングランヒット、全世界で評価されるという大傑作。奥華子の主題歌や千昭と真琴による最後のやり取りは、いまの20代を中心にあまりに有名。

eiga_biyori_7_f1山口 おお! もう、僕は細田監督ど真ん中世代なんで、もはや定期的に夏になると観る映画ですね。観ればとりあえず泣ける。
eiga_biyori_5_f3海野 あ、そうか。山口くんはたしかにど真ん中だ。
eiga_biyori_7_f1山口 『時をかける少女』がちょうど僕が16歳の年(2006年)公開ですし・・・。観どころはどこでしょうか?
eiga_biyori_5_f3海野 当時のアニメファンの方々って、「あまりにド直球な恋愛もの」は少しアレルギーのある方もいたと思うんですよね。それがこの映画でむしろ受け入れられるようになったんじゃ、とも感じた作品ですね。
eiga_biyori_7_f1山口 たしかにアニメ映画ではそういうのはあまりなかったのかもしれませんね。

 

僕自身も「映画館で泣くのは恥ずかしいこと」と当時は思ってたんですけど、これを劇場で観て、もう周りがグスングスン泣きながら観るもんだから、僕も一緒になって泣いてましたね(笑)

eiga_biyori_5_f3海野 ほんとに泣けてきちゃいますよね。

 

この映画の特徴はストーリーもそうなんですけど、描き方にも特徴があって。今回はなかでも山本二三について。彼は数年前に静岡市美術館で展覧会もやっていたんですけど、アニメの背景画を描く方ですね。

eiga_biyori_7_f1山口 山本二三! ジブリの伝説的な背景画家さんですね。
eiga_biyori_5_f3海野 そうですそうです。もともとは、ジブリのスタッフとして『天空の城ラピュタ』、『もののけ姫』なんかのジブリ代表作で大活躍なさるんですが、その後はフリーに。

 

この方はほんとに、素晴らしい絵を描くんですけど、なかでも雲が知られてて「二三雲」なんて言われたりするんですよね。

eiga_biyori_7_f1山口 「ラピュタ」では途中で出てくる、ラピュタに到着したときの長回しの部分。あれは、アニメ史どころか映画史に残るようなシーンだと思うんですが、ここで出てくる雲も「二三雲」ですよね。

 

圧倒的で、この人なくしてラピュタはなかったかも・・・。

eiga_biyori_5_f3海野 まさに。『時をかける少女』だと、ラストシーンはもう一度見返してみてほしい。グーッとカメラが空によって・・・。なんともすがすがしいんですよね。
eiga_biyori_7_f1山口 見慣れた作品でも視点を変えるとまた発見があるかもしれません。僕も夏になったしまた観ます。ハンカチ片手に(笑)

夏だ!部活だ!卓球だ!|『ピンポン』

 

eiga_biyori_7_f1山口 では、最後に僕が「あー、これは夏の映画だ!」と思ったものなんですが、『ピンポン』ですね。
eiga_biyori_5_f2川口 なにげにキャストがすごい作品ですね。
eiga_biyori_5_f3海野 窪塚さんの名演ですね。

『ピンポン』
2002年(日本)監督:曽根文彦
 
高校生のペコとスマイルは、幼いころから卓球台に向かい合う親友でありライバルだった。自分を過信していたペコは、1年生のインターハイで見向きもしなかった同級生に完敗し、卓球から遠ざかる。一方のスマイルは、そんなペコを心配しつつもイマイチ卓球で熱くなりきれないで才能をくすぶらせていた。
 
ふたりは恩師に出逢いペコは再起、スマイルは人としての成長もしながら猛特訓。そして、またライバルひしめくインターハイがはじまる。
 
人気漫画家松本大洋の同名作品を実写化した作品。当時にはまだ珍しかったフルCGによる試合シーンや主題歌を担当したSUPERCARの「YUMEGIWA LAST BOY」、クドカンこと宮藤官九郎の脚本などが注目され大ヒットとなった。

eiga_biyori_7_f1山口 おふたりとも好きそうでよかった(笑)これは僕リアルタイムでして、ちょうど中学生になるかならないか。だから「部活! 青春!」ってすごく引きがあって。全然、卓球に興味がわいたわけじゃないんだけど、「挫折してもなにかに向かって一途に頑張る人はかっこいい」がビシビシってきた作品です。
eiga_biyori_5_f3海野 クドカンの脚本がとくに印象的な作品ですね。
eiga_biyori_7_f1山口 クドカン映画、ではないんですけど、あの抜群のテンポ感はやっぱりそれを感じさせますね。これは原作の松本大洋のセリフを引用した部分がめちゃめちゃカッコよくって・・・。個人的には、「そこんとこよろしく」っていうのが・・・。めちゃ細かいところなんですけど。
eiga_biyori_5_f3海野 わかります。ドラゴンとの試合でのサーブ前ですね。ああいうのがすっごいカッコイイです。

 

だけど、当時は松本大洋のセリフがかっこよすぎちゃって「ちょっとおしゃれすぎるな」と敬遠してたところもあって・・・。のちに『ピンポン(原作)』をまとめ読みしたときに、「あー、これはリアルタイムで追いたかったなあ」と。結構後悔しているんですよね。

eiga_biyori_7_f1山口 セリフの引用もあって、映画のほうもキャラはすごく立っているんですよね。
eiga_biyori_5_f3海野 チャイナのちょっと切ない感じとか、ドラゴンの人には弱さを見せない美学、とか。もうグッときちゃいますよね。もちろん、ペコもスマイルも、ほんとにいい。
eiga_biyori_7_f1山口 役者もすごくて窪塚洋介もそうですけど、当時はまだ「ARATA」名義だった井浦新とか中村獅童とか・・・。
eiga_biyori_5_f3海野 中村獅童にいたっては、ドラゴンの役がやりたくてオーディション時点で眉毛まで剃り上げた状態でやってきたらしいですからね(笑)もう落とせないよね。
eiga_biyori_7_f1山口 あと、夏木マリと竹中直人。あのオババは惹かれちゃいます。
eiga_biyori_5_f2川口 いいよね。ダメそうに見えてめちゃくちゃ子ども想いなんだから、あれはずるい。
eiga_biyori_7_f1山口 で、なにより外せないのが音楽でして。テーマソングが・・・。
eiga_biyori_5_f3海野 スーパーカー。
eiga_biyori_5_f2川口 その印象強いな! スーパーカーだった。
eiga_biyori_7_f1山口 『YUMEGIWA LAST BOY』カッコイイんですよね。作品とも合ってる。当時は珍しかったフルCGとかなんかも含めて、「スポーツに忠実な」というより「汗臭い青春ものなら」という感じでおすすめですね。

ちなみに、『ピンポン』の主演を務めた窪塚洋介さんの新作『アリーキャット』が8月5日(土)より、静岡シネ・ギャラリーでも公開スタート。元プロボクサーの役として登場する「大人の男性」を演じる窪塚さんにも注目です。
 

夏の日 なんとなく外に出るのが億劫になったら映画で熱さを体験しませんか?

いかがでしょう? これからどんどん暑くなって、ドアを開けて外に出たとたん蝉しぐれと真っ青な空にトキメク季節がやってきます。それでも家でのんびり過ごしたいときもあるはず。映画を観て、気分だけでも夏になるのも、ひとつの楽しみ方かもしれません。

ここで取り上げたのはどれも、すがすがしい青が目に映える作品ばかり。泣きたいのか感動したいのか、熱血もので火照されるのか・・・。自分の気分に合わせて作品を選べるのも映画のよいところです。

ぜひ、外出を控えたいときには映画で楽しい時間を!

おすすめ映画を探すなら「映画日和」で