鴨江アートセンターで半年に一度の大展覧会!
写真家と現代芸術家に制作への想いを聞いた

  • posted.2016/09/21
  • あんどうみを
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鴨江アートセンターで半年に一度の大展覧会! 写真家と現代芸術家に制作への想いを聞いた

レジデンスアーティストによる半年に一度の大展覧会「アーティスト・イン・レジデンス※ 2016前期展」

2016年9月17日より、浜松市中区にあるアート・カルチャーの施設「浜松市鴨江アートセンター(以下、鴨江)」で開催されています。

前回の記事では、取材時に在廊していた日本画家のnatsukiiinさん、写真家の小林久人(以下、小林さん)さんに、これまでの制作と個展の見どころについて伺いました。

ただ小林さんのお話しはまだ途中。写真集を作るためにレジデンスに入り、その写真集はすべてハンドメイドで作っているとのこと。そんな小林さんの写真集を見せてもらうと――。

※アーティスト・イン・レジデンス:芸術家に制作場所を提供する事業のこと。鴨江では前期と後期に分けて各4カ月ずつ提供しています。

205号室「小林久人」さん

小林久人205号室 写真家の小林さん

ハンドメイドで作られた小林さんの写真集は、ロウ引きをした紙を表紙として綴じ、丁寧に貼られたケースに入っていました(写真右手)。

あんどうみを

あんどう

わぁ・・・。ほんとうに全てハンドメイドで、世界に1冊しかない写真集を作られているんですね・・・。
小林久人

小林

そうそう。あ、後ろのほうに手焼きの写真がね・・・
あんどうみを

あんどう

わ! ここめちゃいいです。うわ、めちゃいい・・・。

私の語彙力がないというか、もうそれ以上に言えないというか・・・。私は美術館やギャラリーが好きなので、写真展も何度か見に行っていますが、手焼きの写真を自分で手に持って好きに見れるというシチュエーションは初。めちゃくちゃじっくり見てしまいました。

小林久人

小林

大学にも暗室(写真を焼くための部屋)あるよね??
あんどうみを

あんどう

ありますあります。でも私が座学の学科ってこともあって入ったこともないです・・・。小林さんはお家で焼かれるんですか?
小林久人

小林

そうそう。でもなかなか難しいんだよね。
あんどうみを

あんどう

いや、もうなんか想像もできません。

小林久人の作業台写真集作りに使われている紙や道具たち。写真左にはこれまでの写真集が積まれています。

小林久人

小林

僕はフイルム現像からプリントまでを暗室でするんだけど、今回の表紙は暗室で多重露光してタイトルと背景の画像を焼いているんだよね

 

タイトルはPhotoShopで白黒反転させて、OHPフィルムに印刷して、それをセーフティーライト(赤いライト)のなかで印画紙に貼って露光して。

 

そのあとに写真のフイルムで露光して多重露光しています。ほんとうにこだわっていると、どれがいいのかわかんなくなってくる(笑)

あんどうみを

あんどう

おお、なるほど・・・。いや、でもこの1枚のここ、めちゃいいです。

私が言っている写真、一体どんな写真なのかは実物を手にとってご覧ください。感動します。ほんとうに。私は小説を1冊読むくらい眺めていられる気がしました。

kamoeshow02_03取材時、まだ展示は制作中! とのことでこちらはイベント告知の看板です。

あんどうみを

あんどう

・・・レジデンスとして鴨江にいらっしゃってからどうですか?
小林久人

小林

ほかのアーティストの刺激も受けられるし、レジデンスだから来館者がふらっと来てくれる。最初のころは、思ってたより人がこないなぁと思っていました。
小林久人

小林

でも、滞在するにつれて、人が来るようになって、そうするといろいろお話しをしたりして、作業がはかどらないっていう状況にもなってきて。

 

帰られてからも、話していた内容を思い出して、なかなか集中モードに入りづらくなっちゃうっていう・・・。途中から「こないで・・・」とかも思ってたかな(笑)

あんどうみを

あんどう

なるほど・・・。と言いつつも、私が前来たときは気さくに話しかけてくださいましたよね(笑)
小林久人

小林

そうだっけ!(笑)でも、ああして壁一面に写真を展示して写真をを眺めるのは、自分の作品を見つめ直すいい時間になるんだよね。だからやっぱり・・・いろんな人に来て欲しいかな(笑)

ほかの地域での出展も活発な小林さん。9月25日(日)には2階ロビーでトークイベントも行うそうです。参加無料で予約不要なのでぜひ!

dummybook展

【場所】鴨江アートセンター205号室

【開催期間】9月17日(土)~25日(日) 10:00~21:00

【同時開催】写真展 鴨江アートセンターの人々(9月16日~30日)

小林久人 dummybook展

204号室「夏目とも子」さん

夏目とも子204号室 現代アーティストの夏目とも子さん

――この部屋だけ工事中ですか?

って言われる(笑)とふたりで大笑いしたのは、204号室にいる現代アーティスト「夏目とも子」さん。関西出身で、結婚を機に浜松へ。なんと小学生の娘さんを持つお母さんです!

個人的に「お母さん」が好きなので(マザコンとかではないです)、取材中もその包容力に魅了されました。ちなみに鴨江では色に関するワークショップなども展開されています。

あんどうみを

あんどう

夏目さんはどのような作品を作られているんですか?
夏目

夏目

いやー! それがね、ちょうどいまそうした説明をする映像ができたところで・・・

と今回の展覧会で使う、夏目さんのドキュメンタリー映像を見せてくださいました。

あんどうみを

あんどう

なるほど!!!! わ! なるほど! え、私、この作品について何も書けない・・・。見てはじめて感じて欲しいです・・・。

書きなさいと言われるのは重々承知ですので、以下、目を閉じたつもりで、想像に任せてお読みください。気になる・・・と言われたら、私はサイコーに嬉しいです。

感想を交えてお伝えするならば、「私は、その場所やその空気感を作品に落とし込んで、いまここだからできるような作品を作っている」という夏目さんのお言葉から、ここが鴨江の一室だとふとわかんなくなっちゃうような感覚と、でもやっぱりここは鴨江だっていう意識を、ゆらゆらと巡らせることができる作品でした。

あんどうみを

あんどう

これまではどういったところで制作されてきたんですか?
夏目

夏目

ギャラリーの一角やどこかの柱とかかなぁ。鴨江でレジデンスをやっているということは前から知っていたけれど、3か月の滞在制作ってなかなかタイミングが合わなくて。ようやく今期、タイミングも合って、審査も通ってて。
あんどうみを

あんどう

そうですか! 普段お母さんもしながら制作となると、時間も難しいですよね。
夏目

夏目

そうそう。だから娘のお迎え時間までに帰るから、ほかのアーティストさんみたいに夜までずっといることはないかなぁ・・・。
あんどうみを

あんどう

でもここ浜松市にこんな場所があるっていいですよね。鴨江でレジデンスされてみてどうですか?
夏目

夏目

こんなに大きい部屋をまるごと借りれるっていうのは初だから、いままでで最大の作品が作れているかな!

 

窓にイメージに合わせたカーテンをかけられるっていうのもはじめてで、いろいろと工夫しながら空間を作り出せる気がするなー。

夏目とも子のカーテン窓にかけられた不思議なカーテン。独特の空間を作っています。

あんどうみを

あんどう

そうですよね! このふわぁとした空気感を醸し出しているこの窓辺、ほんとうに素敵です。
夏目

夏目

あとは部屋を覗いていく人たちに、私のアートワークはちょっとおかしい!って思われている(笑)

 

何をしているのかわからないっていう反応がよくあって、でも私にとってはそれも何だか面白い。「工事中ですか?」って言われたこともあって(笑)

あんどうみを

あんどう

工事中!(笑)確かにそうです。だって私、何度も部屋の前を通ったんですけど、夏目さんの姿は見えずに、脚立の足しか見えないっていう・・・。
夏目

夏目

そうだよね!(笑)でもそれで覗いてみたところで、ちょっとよくわかんないなぁっていう。
あんどうみを

あんどう

これはドキュメンタリー映像を見たり、夏目さんとお話ししたりしないとわからない! でも、わかったときの興奮が私はもう・・・。
夏目

夏目

そうそう。それで、以前に色に関するワークショップをやったの。下準備まで私がやっておいて、ほんとうに最後の工程を皆さんにやってもらうっていう。

と言って、小さなかけらを見せてくださいました。

夏目とも子の作業台夏目さんの作業台。“かけら”は、またワークショップのお楽しみで!

夏目

夏目

アートにおける最後の工程って、普段あまりやらないじゃない。だからこれを体験した参加者の反応がまたほんとうに面白くて。

 

懐かしい!とか、驚き!とかもあるんだけど、何よりアートワークがどういうことかって身体で感じてもらえるっていうか。なーるほど!っていう。

あんどうみを

あんどう

わーめっちゃやりたいです。実感を伴うことによって、夏目さんの世界にスッと入っていくことができるんですね。

夏目とも子の脚立

カシカシとまた脚立にのぼり、制作をする夏目さんとぐるぐると部屋を見渡す私の間にもまた、このお部屋ならではの空気が流れます。そしてカーテン越しに外の景色を眺めていると・・・。

あんどうみを

あんどう

あれ、これはなんですか?
夏目

夏目

あ、なんだと思う? なぞなぞです。
あんどうみを

あんどう

えー! 窓の外に・・・あるもの?
夏目

夏目

そうだね。いまここでしかできないものを作っているから・・・
あんどうみを

あんどう

えー・・・。なんだろう・・・。

と、ここでしか見えない外の風景を眺めながらなぞなぞを受けて、取材の幕は閉じました。

会期中はひとりずつ部屋に入って鑑賞するスタイルにするつもり」という夏目さん。私の体感では、いつまでもいることのできる空間でした。

鴨江の壁 204号室

【場所】鴨江アートセンター204号室

【開催期間】9月17日(土)~25日(日) 10:00~20:00(在廊時間は不定期)

【ワークショップ】「隠れた色をみつける」 9月18日(日) 15:00〜17:00(随時受付)

【ギャラリートーク】「作品ができるまで」 9月25日(日) 16:00〜17:00

夏目とも子個展 鴨江の壁204号室

まとめ

作品に触れながらの今回の取材、どのアーティストさんもとても気さくで、制作中にも関わらず、快くお話ししてくださいました。とても刺激的なことばかりで、感受性がいつもより100倍くらい高まったような気がします。

鴨江の「レジデンス・イン・アーティスト 2016前期展」は9月25日(日)まで。公式HPやFacebookページにも、展覧会に関する詳しい情報が掲載されているので要チェックです!

鴨江アートセンター

住所:〒432-8024 静岡県浜松市中区鴨江町1番地
電話番号:053-458-5360
営業時間:9:00~21:30
アクセス:JR東海道線浜松駅バスターミナル3番乗り場から約10分 「鴨江アートセンター」バス停下車

駐車場はないため、公共交通機関を利用してのアクセスがおすすめです。