感動に出会う大井川鐵道沿線【5話目】
赤いトロッコで行くふれあいのローカル旅

  • posted.2017/07/11
  • Takashi
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感動に出会う大井川鐵道沿線【5話目】 赤いトロッコで行くふれあいのローカル旅

大井川鐵道本線をSLに乗って千頭駅までやってきた筆者。今回はいよいよ井川線、トロッコ列車編です。

井川線「南アルプスあぷとライン」は、日本で唯一アプト式列車が走る路線。アプト式とは急勾配を登るための鉄道システムの1種で、坂道専用の歯車を、ラックレールと呼ばれる歯形のレールに噛み合わせて走るのだそうです。

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新金谷駅でSLに乗車する前とはまた異なるドキドキが……。SLが勇壮、雄々しいといった雰囲気なら、こちらはまさに「かわいい」ですね。

「あ、さっき同じ車両にいましたよね」

SL乗車中から一緒だったおじさまとまた同じ車両に。彼と世間話を交わしつつ、千頭駅を出発しました。

本線よりも圧倒的な秘境感

井川線のトロッコ列車は平均時速14kmということで、本線のSLよりもさらにゆっくり。乗ってみると、遠くから眺めていたときの「かわいいなあ」よりも「頑張って!」という気持ち。カーブや勾配の多さ、道の険しさがそう思わせるのでしょうか。

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大きく開いた窓から何度もシャッターを切るあいだ、先述のおじさまが盛んに話しかけてきます。どうやら「気まま旅」らしく、知人に奥大井湖上駅の写真を見せられ、思いつきでやってきたのだとか。以下、このおじさまを「気ままな旅人」とします。

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奥大井湖上駅はこんなところ。国内では珍しいダム湖上の駅。

「SLの車窓風景もよかったけど、こっちはさらに、圧倒的だね」

と、気ままな旅人は感心しきり。壮大な渓谷を駆けるトロッコ列車の車窓はたしかに、次第に“秘境感”を増してくるようでした。

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千頭駅から数えて7つ目の駅、アプトいちしろ駅に到着すると、ある儀式が始まります。次の長島ダム駅へ向かうために必要な、アプト式電気機関車を連結させるのです。

後方から車両を押し上げる日本唯一のアプト式電気機関車

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アプトいちしろ駅からの眺め。

アプトいちしろ駅では、アプト式電気機関車連結にかかる数分の停車時間があるため、降りて見学してOK、とのこと。

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後方からアプト式電気機関車がトコトコとやってきました。

(そうか、後ろにくっつくんだ。いったいどんな仕組みなのだろう。連結器で連結するらしいけれど)

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連結作業が済み、出発。長島ダム駅まで90パーミルという、普通鉄道において日本一の急勾配を登っていきます。走行中はSL急行におけるSLおばさんやおじさんのように、車掌が沿線の見どころをご案内。そのうちアプト式の説明もしてくださるだろう……。

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daitetsu_face_01車掌 これから長島ダム駅へ至る勾配は、最後部のアプト式電気機関車が車両を押し上げていきます。右手には長島ダムの放流が……。

へっ?? 「押し上げる」の? 人が乗っている車両を?

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……驚きました。逆に下るときは、車両を「支えながら」進むのだそう。かわいいどころか、なんともたくましいではないか! アプト式列車、恐るべし。

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向かって右手には長島ダムが見える。

長島ダム駅に到着すると、アプト式電気機関車は連結を解除され、お役御免。あっぱれな仕事ぶりでした。

エコパークにも認定された壮大な自然を満喫

アプト電気機関車にさよならしたトロッコ列車は、長島ダム駅からカヌー競技場のあるひらんだ駅、気ままな旅人の目的地でもある奥大井湖上駅へ。

daitetsu_face_01車掌 接岨湖はかつて、国際カヌー競技場としても使用されたダム湖になります。湖底には、旧井川線の駅が沈んでおり……。

車掌による井川線案内は次から次へ、驚きの事実を運んできます。国際試合にも使われていたとは。しかも駅が沈んでいるとは。

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ひらんだ駅から見える接岨湖の眺め。

ひらんだから奥大井湖上駅へ向かうあいだのトンネルは、壁面を活かした電照式フォトギャラリーになっていました。次々と現れる井川線の絶景写真。トロッコはトンネル内でさらに減速、乗客が写真を眺めるゆとりを与えてくれます。

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ブレて不鮮明になってしまいましたが、トロッコ列車と車掌の写真です。

気ままな旅人もすっかり静かになり、車窓風景を満喫しているようでした。井川線沿線は「南アルプスユネスコエコパーク」にも認定された、手つかずの大自然が残る地域。まさに言葉を失う美しさです。

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奥大井湖上駅へ向かうトロッコ列車。

列車は奥大井レインボーブリッジを渡り、国内では珍しいダム湖上の駅に到着。やはりこの駅で降りる人が多く、気ままな旅人ともココでお別れとなりました。旅先の出会いに感謝。

日本一高い鉄道橋 旅はクライマックスへ

ひとり最後部車両に取り残された私。終点よりふたつ手前の尾盛駅などはまさに秘境駅で、そこへ通じる車道はひとつもないのだとか。車掌の沿線案内アナウンスがなんとなく嬉しい、残りわずかな旅路。

daitetsu_face_01車掌 尾盛から閑蔵駅までのあいだには、鉄道橋として日本一の高さを誇る「関の沢橋梁」があります。川底からの高さ70.8m。眼下をご覧いただくと……。

まだ存在するのか、そんな場所が……。もはや驚くことすら忘れそう。大井川鐵道、すごい。

このたびの記事で紹介できる最後のハイライト。関の沢橋梁を、別日で撮影した遠くからの写真でお見せします。コチラ。

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この橋を渡り閑蔵駅へ、そして終点の井川駅へ。片道1時間51分の旅でした。時間があれば井川駅近くにある「井川展示館」にも寄りたかったのですが、今回はここまで。

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中部電力の井川展示館。井川ダムを見渡す高台にある。

もともと撮り鉄でも鉄ちゃんでもなかった筆者。いつの間にか大井川鐵道の魅力に引きずり込まれ、その思い入れはこの体験により、さらに増してしまいました。出会いと発見、感動とふれあいのローカル線。ぜひ旅してみてください。

……乗ってみてこ!

※本線SL編も合わせてお読みください。

これまでの旅の模様を振り返る

大井川鐵道

住所:〒428-8503 島田市金谷東2-1112-2
電話番号:0547-45-4112(大井川鐡道営業部)
アクセス:大井川鐵道新金谷駅(公共交通機関)