月刊ソネレコ【#3】
五月病から店主の思い出の1枚まで

  • posted.2017/05/31
  • 吉松京介
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月刊ソネレコ【#3】 五月病から店主の思い出の1枚まで

静岡県に生きる「音楽が友達」という人にきっかけを。今月もギリギリお届けできました「月刊ソネレコ」です!

浜松市の中心街でひっそりと佇む、いまや絶滅危惧種のリアルレコードショップ「sone records(ソーンレコーズ)」。

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sone records(通称:ソネレコ)

静岡県浜松市の田町で営業するリアルレコ屋。国内外のインディー全般を中心に取り扱う。「これもあんの!?」「これはなんだ?」という発見が音楽好きの心をくすぐり続ける。
 
Twitter:@sone_records

店主のクワケンさんに、音楽で栄養をとっているらしい吉松が月ごとのテーマを提示し、そのテーマに沿って数枚ピックアップしてもらうこの連載。

音楽のまちとして知られる浜松から、国内外のインディーをメインに毎月発信しています!

「月刊ソネレコ」5月のテーマ発表

sonereco03_16ソネレコの店主クワケンさん。

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吉松

月刊ソネレコ、5月もやってまいりました。今日はですね――。
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クワケン

5月病だよね!
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吉松

先月ちらっと話しましたね! レギュラーの新入荷と5月病に合う音楽を。それとクワケンさんの思い出の1枚があれば、エピソードを添えつつ紹介してもらいたいなと。
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クワケン

うわあ、思い出の1枚か。ちょっと考えていいですか。
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吉松

もちろんです。じゃあ、今月は「新入荷」「5月病」「店主の思い出の1枚」でいきますね。
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クワケン

よろしくね。
  • 新入荷(2枚)
  • 五月病(2枚)
  • 店主の思い出の1枚(1枚)

それぞれの枚数はこのとおりです。「思い出の1枚」をぶっこんでみましたが、これ意外と誰にでもあるんですよね。クワケンさんはきっとディープな1枚をあげるはず・・・。それでは計5枚をピックアップしてもらいます!

新入荷「Twinkle Twinkles / CRUSH」

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吉松

新入荷の1枚はなんでしょうか。楽しみですねえ。
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クワケン

1回目の連載で紹介したルビースパークスみたいな感じで、日本のバンド「トゥウィンクルトゥウィンクルズ」にしようかな。
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吉松

名前はめちゃくちゃ見たことありますけど、ガールズバンドってこと以外は知らないですね。
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クワケン

すごいかわいいインディポップでね。大阪出身のナナちゃんを中心に始まったバンドで、昔は浜松に呼んだこともあったな。いまはメンバーチェンジして、ロンドンに移ってるみたいだけど。

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Twinkle Twinkles / CRUSH(税込1,620円)」。日本は大阪発の3ピースガールズロックバンド「Twinkle Twinkes」による7インチシングルです。可憐で浮遊感のあるセンチメンタルなボーカルを、爽やかに疾走するギターサウンドが運ぶジャングリーなインディポップ。レコードストアデイに発売予定でしたが、延期して2017年5月10日にリリース。DLコード付きです。

♪Twinkle Twinkles – 1:28

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吉松

ガーリーでキュートなジャケットをしておりますねえ・・・。
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クワケン

このジャケットを裏切らない音をしてるでしょ・・・!
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吉松

まさに。ゆるいポップさと疾走感がグッドですね。
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クワケン

みんなこういうの嫌いじゃないと思うんだよね。甘酸っぱい感じで。
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吉松

テンポもミドルで乗りやすい。
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クワケン

短い曲だけど途中で転調したりして凝ってるよね。一本調子でもないしさ。まあ、最近はインディポップがブームみたいになってるから・・・。「これぞインディポップ!」を紹介させてもらいました!(笑)

※レコードストアデイ:毎年4月の第3土曜日に世界同時開催されるイベント。当日限定のレコードが世界中で販売される。クワケンさんによるとレコ屋が減少してきたなかで、「たまには地元の個人店に行こうぜ!」みたいなノリで始まったそう。

新入荷「V/A / TYPICAL GIRLS」

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クワケン

次は、悩んだけどこれかな。
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吉松

目がチカチカするくらいのアヴァンギャルドなジャケットですね。
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クワケン

これはね、現行のガールズポストパンクバンドが収録されたコンピ
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吉松

あ、コンピなんですか。
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クワケン

そうそう。女の子のパンク代表のスリッツ※1っていうバンドがいるんだけど。彼女らの曲、『ティピカルガールズ』からコンピ名はとっててさ。

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V/A / TYPICAL GIRLS(税込2,581円)」。1970年代に起こったパンクムーヴメントに影響を受けた、現代のガールズポストパンクバンドのコンピアルバムです。2016年にリリースされた第1弾に続いて、2017年4月7日リリースされた第2弾。全16バンドを収録、LP+コード付き。


♪MIDNITE SNAXXX – no time to spend

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クワケン

この手の音が好きなら間違いないね。
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吉松

僕、パンクはかなり疎いんですが、どんなバンドが集まってるんですか?
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クワケン

俺が店を始めた2010年前後くらいのとき、インディ界隈でキーワードになっていたようなバンドメンバーがやってるメンツばっかり。バンド名を見ると「なんだ?」って思うかもしれないけど、言ってみれば豪華だね。
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吉松

ポストパンクの入門編みたいな?
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クワケン

わりとね。こっからパンク界隈のバンドを掘り下げられると思う。広がりを持てる1枚。
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吉松

そういう1枚はリスナーとしてありがたいですねえ。
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クワケン

あと個人的な話をするとね、ボーイレーサー※2っていう90年代からやってるインディポップバンドがいて。そのフロントの夫婦がやってるレーベル「エモーショナルレスポンス」から出てるんだけどさ。俺が個人的にボーイレーサーが好きなんだよ。
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吉松

ボーイレーサー。なんで好きなんですか?
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クワケン

リリースしまくる名物バンドみたいな感じで。イケてるんだけど、第1線じゃない扱いをされてるんだよね。ボーカルのスチュアートとジェーンは味があるし、ちょっと泣きのメロディで最高なんだけど・・・。そんなふたりがやってるレーベルから出てるから、俺としてはグッときちゃうんだよ。

※The Slits(スリッツ):イギリスのガールズパンクロックバンド。1976年後半に結成。当時はパンクといえば男性のイメージで、女性のみの編成はかなり珍しかったそう。

※Boyracer(ボーイレーサー):イギリスのインディポップバンド。ノイジーでローファイなサウンドにアドレナリンが止まらない。

5月病「MAC DEMARCO / THIS OLD DOG」

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吉松

続きまして5月病に合う音楽を――。
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クワケン

5月病ですね! 待ってました! とりあえず1枚目はマックデマルコかなと。
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吉松

紹介文を見るとめちゃくちゃ有名みたいですけど、ちょっと知らないですね。
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クワケン

あ、ほんと? 10年代のインディなら、いまのところ一番ブレイクしたアーティストになるんじゃない? デマルコが履き潰したスニーカーがオークションですごい値段になるとか、わけのわからない現象が起きてるよ

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MAC DEMARCO / THIS OLD DOG(税込3,661円)」。カナダ発のシンガーソングライター「MAC DEMARCO」による3枚目のフルアルバムです。アコースティックギターと柔らかい電子音、100%自然体のゆる~いボーカルにとにかく浸れるインディロック。2017年5月3日リリース、全13曲入り、レコ屋限定のレッドヴァイナルLP(赤色のレコード)+DLコード付き。

♪MAC DEMARCO – THIS OLD DOG

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クワケン

マックデマルコはね、あれだけ売れたのに一緒に鍋を囲めるような、近所の兄ちゃんみたいな風貌なんだけど。最初のシングルジャケットとか、風呂上がりのぶよぶよの身体を撮ったやつで、次は化粧してグラムロックみたいな感じだった。
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吉松

この音楽性からは想像つかないですけど・・・(笑)
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クワケン

世界中で大ブレイクしたのは、14年のアルバムのサラダデイズからだろうね。それでも一切変わんないんだよなあ。
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吉松

音楽性が変わらない?
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クワケン

そう。力の抜けた感じとか、メロディも鼻歌みたいだし。マイペースでやってるんだよね。奇跡の存在。
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吉松

たしかに生気を吸い取られるくらい力が抜けてますね。そのゆるさが5月病にぴったりじゃないかってことですか。
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クワケン

いいんじゃないすかね。やる気のない午後とかさ、「今日はもう仕事いいや。デマルコ聴いてるよ俺は。すんません、有給で!」みたいな。
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吉松

はっはっは(笑)
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クワケン

5月病じゃないにしても、忙しいサラリーマンのみなさんね。天気のいい日はデマルコ聴いて、ビールを飲んでゆっくり過ごしましょうと。そういうことだね。

5月病「Soft Kill / Choke」

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クワケン

今度はねえ、ソフトキル。会社辞めたいって人に聴いてもらいたい。
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吉松

あら、そこまでいっちゃいます。
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クワケン

マックデマルコがサボろうだったら、ソフトキルは歯を食いしばって頑張れと。
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吉松

辞める後押しじゃなくて、もっと頑張れのほうでしたか(笑)

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Soft Kill / Choke(税込3,337円)」。アメリカはポートランドを拠点に活動する「Soft Kill」のオリジナルフルアルバムです。深いリバーブのかかったメランコリックなサウンド、低音で淡々と歌い上げるボーカル、思わず身体が揺れるハンマービートが心地よいポストパンク。2016年4月11日リリース、LP+DLコード付き。

♪Soft Kill – Whirl

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クワケン

ダークな感じでビートはダンサブルだよね。ちょっとニューオーダー※1みたいな。
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吉松

ニューオーダーめっちゃわかります。エイティーズ※2の雰囲気もありますね。ドラムの感じとか。
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クワケン

これはねえ、俺的にはすげえいい。泣きながら踊る感じ。たまらんなと。やる気をなくしたみなさんは、これを聴いてもう1回頑張れと(笑)
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吉松

(笑)押しつけがましい感じがないので、やる気ないときにはピッタリですね。
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クワケン

無駄に明るくないからね。かといって死にたくなるような暗さでもない。絶妙なラインをいってる。
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吉松

精神安定剤としてはめちゃくちゃよさそう。
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クワケン

「外はいい天気だけど、俺の心は真っ暗だよ・・・」ってときに聴いてほしいですね。

※New Order(ニュー・オーダー):イギリスはマンチェスターを代表するニューウェイブバンド。カルト的な人気を誇る伝説のポストパンクバンド「Joy Division(ジョイ・ディヴィジョン)」が前身。

※80s(エイティーズ):ここでいうエイティーズは、1980年代にアメリカやイギリスを中心に流行ったポップミュージックのこと。シンセをはじめとしたデジタル楽器がよく使われた。「Wham!(ワム!)」「Culture Club(カルチャー・クラブ)」「Van Halen(ヴァン・ヘイレン)」などは日本人にも馴染み深い。

店主の思い出の1枚「Flying Saucer Attack / Distance」

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吉松

思い出の1枚は考えつきそうですかね。
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クワケン

そうだねえ。思い出っていうほどではないし、これといったエピソードがあるわけじゃないんだけど・・・。
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吉松

だけど?
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クワケン

すごい好きなバンドで、フライングソーサーアタックにしようかな。シューゲイザーで語られたりするんだけど、もっとサイケとかアンビエントとか。本人たちは“ルーラルサイケデリア”って言ってた。田舎のサイケデリックみたいな意味でね。

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Flying Saucer Attack / Distance(税込3,089円)」。イギリスはブリストルを拠点に活動している「Flying Saucer Attack」が1994年にリリースした、シングルと未発表曲を編集したコンピアルバムのLPリイシュー版です。神秘的なホワイトノイズに響く甘く淡いメロディが揺れる、サイケデリックでアンビエントなシューゲイザー。全8曲入り、見開きジャケット+ライナーノート付き。

♪Flying Saucer Attack – Soaring High

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クワケン

90年代のブリストルは、マッシブアタックとかポーティスヘッドとか、ヒップホップから派生したトリップホップが有名じゃない? その裏側のシーンにいたのがフライングソーサーアタックで。
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吉松

裏側にこんなバンドがいたんですか。ブリストルといえば、トリップホップのイメージしか・・・。どこで知ったんですか?
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クワケン

昔に目を通してた読めやしない海外の音楽雑誌だったかな。ニューリリース特集でそれぞれの作品に点数がつけられていたんだけど、フライングソーサーアタックはすごい高くて気になるなと。それで聴いてみたらめちゃくちゃよくてさ。
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吉松

なにがよかったんですかね。
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クワケン

嫌味のないノイズで神秘的なところになるのかなあ。このアルバムとかギターノイズだけどアンビエントやドローンみたいな、いわゆる音響派っぽい曲もあるのね。そういうのってパッと聴いていいと思えるものではないじゃない。
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吉松

そうですね。あんまり思えないですね。なにかきっかけがないと。
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クワケン

そのきっかけがこのバンドだった。アンビエントとかドローンの泥沼にハマった入口になった気がするんだよね。・・・やっべ、いいこと言い出してるな俺(笑)

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クワケン

ちょっとよく言いすぎてるけどね。
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吉松

いやいや、思い出の1枚ってそういうものだと思います。というか、僕はかなり好きですね。
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クワケン

でしょ! 夜の田舎道でね、車で走ってるときのBGMにしたりして。
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吉松

音の雰囲気にはピッタリですねえ。
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クワケン

じつは俺は実際にしたことあるんだけど、「ルーラルサイケデリアってこういうことか!」って思ったね。うちの裏道(浜松市)は本当に田んぼしかなくて、そこでたまたま流してたときだった。もう本当に「こういうことか!」って。
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吉松

これといったエピソードめっちゃあるじゃないですか・・・。

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月刊ソネレコ【#3】はこれでおしまい。

5月も明日で終わりですが、あなたは5月病を引きずっていないでしょうか? もうマックデマルコでサボるよりも、ソフトキルで頑張ったほうがいいタイミングですかね。まあ、1日くらいならマックデマルコでも・・・。

ちなみに思い出の1枚のエピソードを、音楽好きの友達に聞くのはかなりおすすめです。その人の音楽ルーツから地元の話題まで出てくるんですよね。けっこう盛り上がります。

次は6月ですか。6月といえば梅雨なわけで、「雨」をテーマのひとつにしようかなと考えています。それではまた会いましょう!

一方で静岡の音楽は・・・?

sone records(ソーンレコーズ)

住所:〒430-0944 浜松市中区田町315-20 2階
営業時間:夕方~21:00(平日)/ 13:00~21:00(休日)
定休日:不定休
電話番号:053-453-8852